- 2016-5-12
- 腰椎椎間板ヘルニア
【肩こり腰痛】NO.3 腰椎椎間板ヘルニアについて
腰椎椎間板ヘルニアは腰痛の最大原因?
これまでの常識では、腰椎椎間板ヘルニアになると腰痛になる可能性が極めて高いと言われていました。しかし、最近の研究でこの病気が腰痛を引き起こす割合は、腰痛全体の2~3%に過ぎないことが分かりました。この病気の原因や症状、最近の研究結果について
述べます。
■腰椎椎間板ヘルニアとは
①椎間板ヘルニアが起きる原因
椎間板ヘルニアは腰椎の動きをスムーズにする役割を果たしている腰椎の間にある椎間板に異常が生じる病気です。
・人体の腰部の構成
人体の腰部は上から数えて第1腰椎から第5腰椎、その腰椎のクッションの役割をする椎 間板、脊髄の延長線上にあり腰椎の中核となる馬尾、腰部を左右に取り巻く神経および 腰部を支える筋肉などで構成されております。
・椎間板ヘルニアが起きる原因
椎間板ヘルニアは主に第4腰椎と第5腰椎の間にある椎間板に異常がでる病気です。椎間 板はゼリー状の髄核とその周囲を覆って髄核を保護している線維輪(軟骨)から構成され ています。椎間板ヘルニアは、髄核が線維輪とともに膨らんだり線維輪を突き破って飛 び出した状態をいいます。このような状態になると周囲の神経を刺激したり圧迫して、 腰痛が起きるといわれています。
■最近の研究で分かったこと
・上記の症状で腰痛がでることもありますが、その率は腰痛全体の2~3%に過ぎない、ま た、髄核そのものが神経に炎症作用をもたらすことが分かってきました。このため、炎 症作用を鎮めれば、椎間板ヘルニアになっても腰痛を避けることができると言われるよ うになっております。
・米国で行われた2つの研究がこのことを実証しています。
①腰下肢痛を経験したことがない21~80歳までの52名を対象にCATスキャンで撮影した写 真を事情を知らせないで3名の放射線医師に読影させた結果、年齢に関係なく35.4%に 何らかの異常が発見され、ヘルニアにかかっている人が40歳未満で19.5%、40歳以上で 26.9%発見された。
②MRIを使って同じように腰下肢痛を経験したことがない人20~80歳までの人を対象とし た同じような調査では、椎間板ヘルニアが21~36%、椎間板膨隆が50~79%、椎間板変 性が34~93%に認められた。
以上の研究は、腰痛を経験したことがない人でも、9割程度の人が何らかの椎間板異常を経験しているが自然治癒していることになります。従って、椎間板ヘルニアは腰痛の一因ではあるが、それほど深刻に考える必要はないという結論です。